日程:2014年10月20日(月)-21日(火)
場所:JAXA宇宙科学研究所・研究管理棟2階大会議場
開催趣旨:
太陽観測衛星「ひので」によって、太陽の光球面とコロナをつなぐ「境界層」である彩層が
予想外に活発な運動を示すことが見出され、彩層の活動がコロナ・彩層の形成機構の鍵を握ること、
その形成機構を理解するには彩層の磁場情報が不可欠であること、が認識されてきました。
また、「ひので」と米国SDO衛星との連携により、コロナを構成する磁気ループの基本的な空間
サイズに関する知見が得られつつある一方、昨年打上げられたIRIS衛星による彩層分光観測は、
彩層を軸とした太陽大気の理解に新たな展開をもたらしています。さらに近年の理論・シミュレー
ション研究の進展は目覚ましく、データ同化シミュレーションなど、観測のみでは得られない
科学的知見をもたらす強力な手段となってきています。
本シンポジウムは、今後のスペース太陽物理学が進む方向を示唆するこれらの観測成果や動向を
ふまえ、2020年代のスペースからの太陽観測で重点的に取り組むべき科学課題と達成すべき進展、
そのために必要な観測、を太陽および関連分野のコミュニティで広く討議・共有することを目的と
して、開催します。重点科学課題ごとに編成した検討チームによる事前検討報告と、それに基づく
討議が中心です。
ひろく関連コミュニティ各位の参加をよろしくお願いします。
主催:
JAXA宇宙科学研究所・ひのでプロジェクト、
国立天文台・ひので科学プロジェクト、国立天文台・Solar-C準備室
シンポジウム世話人:
SOC: 一本潔(京大)、草野完也(名大)、清水敏文(ISAS/JAXA)、原弘久(国立天文台)
LOC: 坂尾太郎(ISAS/JAXA)
DAY 1 10月20日(月)
12:50-13:00 世話人からの連絡<「ひので」の成果と将来展望 (座長:坂尾)>
- 13:00-13:45 原弘久 はじめに―将来展望の検討にあたって
- 13:45-14:30 横山央明 「ひので」による理解の到達点
14:30-14:45 休憩
<太陽大気・太陽風の形成機構 (座長:原・鈴木)>
- 14:45-14:50 鈴木建 導入
- 14:50-15:05 松本琢磨 数値シミュレーションに基づく将来観測の展望
- 15:05-15:20 北川直優 将来観測で期待される波動エネルギー流束の検出
- 15:20-15:35 末松芳法 スピキュール観測で期待されるエネルギー流束の検出
- 15:35-15:45 飯田佑輔 Hanle効果による彩層中の波動検出の可能性
- 15:45-16:00 渡邊鉄哉 Solar-C/EUVSTにおけるNeVIIの観測
- 16:00-16:15 議論
<活動周期の発現機構と、長期的活動の惑星間空間への影響 (座長:草野)>
- 16:15-16:25 草野完也 テーマ設定と背景説明
- 16:25-17:25 各テーマ検討報告
政田洋平 ダイナモモデルの検証のために
飯田佑輔 表面磁場輸送とその異方性
原弘久 X線小輝点とその周期活動変動
下条圭美 極域磁場観測とプロミネンスの周期活動変動
塩田大幸 表面磁場と放射スペクトル - 17:25-17:45 パネル討論(飯田、政田、下条、塩田、原、草野)
17:45 DAY 1 終了
19:00 懇親会(淵野辺駅南口・九州処)
DAY 2 10月21日(火)
<彩層・コロナ活動の駆動源としての磁気リコネクション機構 (座長:今田)>
- 9:30- 9:50 今田晋亮 太陽大気中の磁気リコネクションの特徴と関連分野からの期待
- 9:50-10:10 中村尚樹 衝突効果を考慮した磁気リコネクション
- 10:10-10:30 西田圭佑 太陽フレア観測とシミュレーション
- 10:30-10:50 高棹真介 将来に向けて期待できる観測
- 10:50-11:00 討論
<大規模磁場構造の形成・爆発機構とダイナミクス、および惑星間空間への影響 (座長:清水)>
- 11:00-11:15 清水敏文 テーマ設定と背景説明
- 11:15-11:35 鳥海森 理論面からの検討:エネルギー蓄積からフレアトリガまで
11:35-13:00 昼食休憩
- 13:00-13:20 伴場由美 フレア観測の現状とSolar-Cへの課題
- 13:20-13:40 浅井歩 フレア噴出~惑星間空間への影響
- 13:40-14:00 渡邉恭子 Solar-C衛星による太陽フレアに伴う粒子加速現象観測の可能性
<彩層偏光分光観測の現状と展望 (座長:永田)>
- 14:00-14:18 永田伸一 彩層偏光分光観測の現状と展望
- 14:18-14:36 勝川行雄 SUVIT彩層観測ライン最適化
- 14:36-14:54 阿南徹 SUVIT彩層磁場測定精度とサイエンス
- 14:54-15:12 石川遼子 宇宙からの次世代彩層磁場観測
- 15:12-15:30 一本潔 SUVITと地上望遠鏡との協調・競合
15:30-15:45 休憩
<彩層分光衛星IRISをふまえた将来展望 (座長:岡本)>
- 15:45-15:52 岡本丈典 IRIS 概要
- 15:52-17:15 IRISを用いて進行中の研究と課題
勝川行雄 半暗部
加納龍一 黒点
馬場楓子 スピキュール
今田晋亮 活動領域
Antolin Patrick コロナルレイン
下条圭美 ALMAとの共同観測の展望
川手朋子 Mg II と Ca II の比較、Mg II の有用性
岡本丈典 プロミネンスの Mg II ライン形状、観測データと解釈
Antolin Patrick 数値計算の観点から波動検出における Mg II の有用性
飯島陽久 彩層輻射輸送計算
<総合討論 (座長:一本)>
- 17:15-18:00 総合討論
18:00 DAY 2 終了