SOLAR-C タウンミーティング

 現在、日本の次期太陽観測衛星SOLAR-Cの計画策定にとって、 極めて重要な時期を迎えつつあります。 この機会に、SOLAR-C計画の方向性を広く議論するため、 「SOLAR-Cタウンミーティング」を下記の通り開催いたします。 太陽研究者のみならず関連分野を含む多くのみなさんにご参加いただき、 活発な議論を持ちたいと思いますので、是非ご来場ください。 なお、SOLAR-C計画の進展に関するワーキンググループ主査からの報告を下に添付しました。 また、天文学会秋季年会太陽セッションでは本タウンミーティングの前に SOLAR-C/A案及びB案の詳細に関する講演も予定されています。 合わせて議論の参考にしていただければ幸いです。

SOLAR-C タウンミーティング・コンビーナー
草野完也(名古屋大学)・一本潔(京都大学)

SOLAR-C タウンミーティング

  • 日時:2010年9月24日(金)12:30-13:30
    (上記時間内で、太陽研究者連絡会と連続して実施します。)
  • 場所:天文学会2010年秋季年会F会場
    (金沢大学角間キャンパス自然科学大講義棟B)
  • 内容:
    1. SOLAR-C計画の進展について
    2. 質疑と議論
    3. その他

参考資料

  • "SOLAR-C計画の進展について"[PDF]
      2010年9月24の当タウンミーティングでのプレゼン資料
  • "日米合同科学評価委員会(JSSAC)チャーター"[PDF]
  • "US A Decadal Strategy for Solar and Space Physics (Heliophysics) STATEMENT OF TASK" [PDF]
  • "Decadal Study-Request for Information (RFI) from Community" [PDF]
  • "JAXA SOLAR-C Mission"[PDF]
      2010年9月17日に行われたNASA-JAXA discipline meetingでのSOLAR-Cプレゼン資料
  • 次期太陽観測衛星(Solar-C)提案に向けた国内検討会議 2010
      2010年1月19~20日に行われた国内検討会議における発表資料

SOLAR-C計画の進展について(報告)

 宇宙科学研究所SOLAR-Cワーキンググループおよび JSPEC黄道面離脱型探査技術実証および太陽観測ミッションワーキンググループ (以下ワーキンググループ)は、 「ひのとり」-「ようこう」-「ひので」 とこれまでの我が国の太陽観測衛星シリーズの輝かしい成果を受けて、 黄道面から離脱し極域の探査を行うA案、 太陽の光球からコロナまでをシームレスかつ高い解像度で(偏光)分光診断を行うB案の検討を進めてきました。 その間、2008年11月、2010年3月には、 SOLAR-C科学検討国際会議を宇宙科学研究所にて開催し、 米国および欧州からの多数の出席者を得、 特に、第2回会議では、NASA本部からの公式参加がありました。 その結果、A案B案とも、さらに詳細検討を行うべき魅力的な提案とのコンセンサスを得ました。 また、NASA本部、ESA本部とは接触・対話を積み重ね、 とくにNASA本部とは、 2010年3月にJAXA-NASAの合同ワーキンググループの設立に合意し、 本年秋には、パレルモにてJAXA-NASA Joint Solar-C Science Assessment Committee (JSSAC) を開催予定で、ESAからもオブザーバーが参加予定です。

 ワーキンググループは、2009~10年度にJAXAからの開発経費の支援を受けて、 システム検討・ミッションの要素開発を行うと同時に、 米国・欧州の研究者を含めたサブワーキンググループを編成し、 科学を中心としたミッション提案を取りまとめたSOLAR-C interim report (英文)の準備を、 A案・B案のそれぞれについて進めています(2010年中に公表予定)。 また、世界で初めて紫外線にて彩層の磁場を計測する観測ロケット実験CLASP計画を NASA/MSFCと共同で進めています。

 一方、米国では、NRC Decadal Survey in Solar and Space Physicsが開始され、 2013年から2022年に打ち上げが提案されているミッションの順位つけが行われます。 ここで、SOLAR-Cは、strategic missionとして高いプライオリテーを得ることが、 今後の日米協力を中心としたSOLAR-C計画の安定した実施に必須であり、 JSSACとその前身のアドホックチームにて必要な対応を行う所です。 さらに、欧州では、ESA Cosmic Vision-II にSOLAR-Cの観測装置を提案すべく検討が開始されています。

 SOLAR-Cの2018年度打上げ目標・NRC Decadal Survey・ESA Cosmic Vision-IIへの対応を考慮した場合、 これまでのワーキンググループの活動の成果を基礎として、 A案・B案のプライオリテー付けの時期が近づいてきたと判断しています。第 1位となったコンセプトをSOLAR-C計画として詳細検討に入り、 JAXAにミッション提案することになります。 また、第2位をSOLAR-Dとして検討を継続するなど、 その位置づけについて対応を検討します。 プライオリテー付けは、基本的に、 SOLAR-CワーキンググループとJSSACをプラットホームとした、 太陽物理分野でのボトムアッププロセスです。 プライオリテー付けの観点は、 第1位にサイエンスであり、 SOLAR-C interim reportに記載された太陽物理学に特段の進展をもたらす科学目的、 新しいdeliverable observables(観測データ)とそれの解析によりもたらされる deliverable discovery space(新知見)の評価です。 また、NASAのSDOやIRISなどから予想される成果や、 ミッションの総コスト・技術的成熟度・リスクなども選定に影響を与えます。

 今回の天文学会では、A案、B案それぞれのミッションについて最新の検討結果の講演があります。 この機会に、短時間ですがSOLAR-Cタウンミーティングを開催し、 「我々はどの方向に進めばよいか?」を、 太陽物理および関連分野の方々に今一度考えていただくキックオフとしたいと思います。

2010年9月3日
宇宙科学研究所SOLAR-Cワーキンググループ・ JSPEC黄道面離脱型探査技術実証および太陽観測ミッションワーキンググループ主査 常田佐久