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National Institutes of Natural Sciences

ひのでサイエンスセンター
ワークショップシリーズ


太陽の磁気的活動と生命の誕生
- Faint Young Sun Paradox 研究会 -

  • 日時:2011年9月5日 13時 - 9月6日 17時
  • 場所:
    9月5日:国立天文台(三鷹) 講義室 (中央棟[北]ロビー)
    9月6日:国立天文台(三鷹) 講義室 (中央棟[北]ロビー)
  • SOC: 今田晋亮(宇宙研), 鈴木建(名大), 宮原ひろ子(宇宙線研), 常田佐久(国立天文台)

主旨

約35億年前に地球に生命が誕生したと考えられているが、その時代の太陽及び地球周辺の宇宙環境を探る。標準太陽モデルによると、生命が誕生したとされる〜35億年前、太陽は現在よりも暗かった。そのため、地球は全球凍結の状態にあり生命が誕生する事が難しい状態にあったと考えられている(The Faint Young Sun Paradox)。このような環境にあった地球で生命を誕生させる可能性はいくつか考えられるが、本検討会では、"実は太陽は暗くなかった!"という可能性について検討する。具体的には、35億年前の太陽は現在より重く明るく、自転速度も速かった可能性について、あらゆる角度から考察する。太陽の明るさを現在の太陽以上にするため、当時の太陽の質量が5%程度大きかったとすると、太陽の質量及び角運動量損失を現在より2〜3桁増やさないと、現在の太陽と矛盾が生じる。そこで、35億年前の太陽風やCoronal mass ejection等、初期太陽の磁気流体力学的現象を理論的・観測的に検討する事によって、The Faint Young Sun Paradoxの天文学的解決を試みる。

プログラム

    9月5日 13時~18時

  • セッション1: はじめに
    • [13:00-13:30] The Faint Young Sun Paradoxと太陽の電磁流体活動
      常田佐久(国立天文台)(PPT)
  • セッション2: 問題意識およびintroduction - 35億年前、生命誕生しうる全球凍結していない環境の可能性について -

      [座長:鈴木建]

    • 2-1. [13:30-14:10] 標準的なparadoxの解決案 倉本圭(北大)(PPT)
      世の中に出回っている初期地球の大気モデルとその地質学的証拠の両方をおさえながら,太陽側の進化シナリオが変わるとモデルがどう変わりそうなのかについても議論する。
    • 2-2. [14:10-14:50] 恒星モデルの初期太陽は何故暗いのか? 須田拓馬(国立天文台)(PDF)
      恒星進化の数値計算コードを用いた太陽モデルでは、35億年前には光度が現在の7割程度であったことが知られている。本講演では、光度の時間変化の原因について述べるとともに、これを変更することは可能か、また、またそのような条件は何か、について議論する。
    • 2-3. [14:50-15:15] ZAMS時の太陽質量を、太陽風モデルを用いての考察 今田晋亮(宇宙研)(PPTX)
      ZAMS時の太陽質量を、現在の1.05倍にする事が、極端な太陽風を仮定する事で可能かどうかを検討する。太陽風は熱的な風を仮定し、パーカー太陽風をベースに考察をおこなう。
    [15:15-15:30] 休憩

  • セッション3: 他の太陽型星の観測等から要請される条件

      [座長:今田晋亮]

    • 3-1. [15:30-16:00] 太陽以外の恒星風の観測 鈴木建(名大)(PDF)
      若い太陽型星の恒星風の観測(Wood et al.)から類推される太陽の質量放出の歴史を,角運動量の時間進化と合わせて議論する。
    • 3-2. [16:00-16:30] 星の年齢とX線、紫外線、周期等の関係について 加藤成晃(国立天文台)(PDF)
      太陽型恒星におけるコロナ(磁場)活動性の指標であるX線・紫外線の光度変動周期についてレビューする。
    • 3-3. [16:30-17:00] 星団の色等級図から太陽質量の星の最初の数十億年の進化が見えるか 茂山俊和(東大)(PDF)
      違う年齢を持っているが組成は太陽とほぼ同じとされている星団を観測した色等級図を比較することで太陽質量の星の最初の数十億年の光度変化を見ることができるかを検討する。Hyades星団、M67, NGC188などの散開星団についての観測結果を概観し、理論モデルと比較して現状で言えることと将来の観測への示唆が与えられるか検討する。
    • 3-4. [17:00-17:30] 惑星大気および月に残された初期太陽の痕跡 寺田直樹(東北大) (PPT)
      惑星大気の宇宙空間への流出および大気進化の観点から、FYS問題について考察を行う。惑星大気流出量の理論的推測に加えて、惑星大気中の同位体比や、月にインプラントされた初期地球大気の痕跡に基づいて、初期太陽風に必要とされるフラックス値を議論する。
    • 3-5. [17:30-18:00] 月の表砂に映る初期地球 小嶋稔(東京大学)(PPT)
      月の表砂より初期地球環境を考察し、FYS問題についてコメントする(参考文献:Ozima et al.,PNAS, 2008)
    [18:30- ] 懇親会 (コスモス会館にて)

    9月6日 9時~16時40分

  • セッション3: 他の太陽型星の観測等から要請される条件 (cont.)

      [座長:片岡龍峰]

    • 3-6. [09:00-09:40] 惑星形成論と過去の太陽 小久保英一郎(国立天文台)(PDF)
      惑星形成論における、太陽および太陽風等、太陽起源の物理現象の位置づけ、惑星形成論にとってどれくらいのインパクトが予想されるのか等を議論する。
    • 3-7. [09:40-10:20] 微惑星形成と過去の太陽 中本泰史(東工大)(PDF)
      惑星形成初期「ダストからの微惑星形成」段階について、過去の太陽光度や太陽風強度が従来想定されているものと異なった場合のインパクトについて。
    • 3-8. [10:20-11:00] 太陽風と原子惑星系円盤におけるダストの関係 上野崇孝(宇宙研)(PDF)
      中心星を周回するダストの角運動量の減少について、我々の太陽系の場合はフォトン・ポインティング・ローバトソン効果が大きな寄与を与えている。しかし原始太陽において太陽風の強度が大きい状態を想定すると、太陽風により角運動量を失う効果を考慮する必要がある。本講演では、強太陽風が原始惑星系円盤の進化シナリオに与える効果を考えてみたい。
    • 3-9. [11:00-11:40] 原始太陽風についての隕石学的展望 圦本尚義(北大)(KEY)
      隕石の中に多量の太陽風組成の希ガスを含む種類が存在する。この中の一部に、コンンドリュール内部やメタル粒子中にも太陽風希ガスや太陽同位体組成の酸素を含むものが見つかってきた。これらの分析結果は、原始太陽が非常に活発で、桁違いに高強度の、あるいは、高エネルギーの星風を吹き出していた可能性を示唆している。
    [11:40―12:40] 昼食

    • 3-10. [12:40-13:10] 初期太陽の太陽風、活動周期、自転周期の復元可能性について 宮原ひろ子(宇宙線研)(PPTX)
      初期太陽の太陽風強度は、月レゴリスやプレソーラー粒子の同位体比から復元できる可能性がある。また、活動周期や自転周期の変遷についても、サンゴ化石や貝化石の分析から制約できる可能性がある。本稿では、これまでに得られている初期太陽風の観測的制約についてレビューを行うとともに、活動周期や自転周期の復元可能性について議論する。
    • 3-11. [13:10-13:40] 初期地球磁場への地質学的制約 臼井洋一(海洋研究開発機構)(PPTX)
      活発な初期太陽のもとでは、地球磁場が顕著に増加しない限り、地球環境は激しく太陽の影響を受けるはずである。地質学的証拠はこのシナリオを示唆する:数は少ないものの、最新の古地磁気学研究は、34億年前の地球磁場は現在と極端には変わらないことを示している。
  • セッション4: Faint young sun paradoxを解決できそうなモデルについて - ZAMS(Zero Age Main Sequence)時に頻発するCMEで質量損失させる - (2時間30分)

      [座長:宮原ひろ子]

    • 4-1. [13:40-14:10] 定性的なアイデアについて 今田晋亮(宇宙研)(PPTX)
      ZAMS時には非常に大きい質量損失をさせ、また46億年後には現在の質量損失になりうる、定性的なモデルのアイデアについて議論する。
    • 4-2. [14:10-14:40] ZAMS時のCME 片岡龍峰(東工大)(PPTX)
      現在のコロナ質量放出(CME)は10^15 gのオーダーで1日1回程度発生することから、質量損失率は10^18 g/yr程度で、400km/sで5/ccの背景太陽風3x10-19g/yrと比べて、数十倍小さい値となっている。つまり、現在のCMEによる質量損失率は10^{-15} M_sun/yr程度である。Faint Young Sun問題を解決し得るZAMSの質量損失10^{-11} M_sun/yrを、全てCMEの頻度に押し付けると10^4倍の頻度、つまり10秒に1度、CMEが発生することになる。現在までに太陽が角運動量を失いすぎないためには、また、Woodによる恒星風の観測結果と矛盾しないためには、この質量損失率で極域から選択的に質量損失すればよいが、極域に集中する活動領域と関連して上下方向にCMEが発生する、ということが考えられる。こられの要請を満たすCME発生は現実的か否かを検討する。
    • 4-3. [14:40-15:10] 現在と昔の太陽ダイナモ 堀田 英之(東大)(PPTX)
      現在、理解されている太陽内部の大局的速度場(子午面還流・差動回転)の維持機構、そして磁場の生成機構(太陽ダイナモ)を説明する。また、そこから考えられる自転角速度が大きい時の大局的速度場、生成される磁場、そしてその周期について議論する。回転が速い時の黒点の出現緯度についても 議論する予定である。
    • 4-4. [15:10-15:40] 若い太陽の表面磁場構造と太陽磁場の進化史 政田洋平(神戸大学)(PDF)
      若いG型星の観測から、過去の太陽が現在よりも遥かに短い自転周期を持っていた事が示唆されている。さらに、近年、DonatiらのZeeman-Doppler Imaging観測によって、高速回転する若いG型星が、現在の太陽とは全く異なる表面磁場構造を持つ事がわかってきた(c.f., Donati & Landstreet2008)。本講演では、近年の観測結果および高速回転星でのダイナモ理論を拠り所にしながら、若い太陽に期待される表面の磁場構造/分布について議論する。さらに、磁場構造の進化の歴史と、太陽の角運動量/質量損失史の関係についても考察する予定である。
    • 4-5. [15:40-16:10] 昔の太陽風について 鈴木建(名大)(PDF)
      太陽系初期の太陽風がどのようになっていたかを知る事は、太陽系惑星の形成や進化を論じる上で重要である。発表では、太陽風の進化に関してこれまで行われてきた研究を紹介する。太陽風速度や密度(質量流束)の進化だけでなく、角運動量についても論じる予定である。
  • セッション5: まとめと議論
    [16:10-16:40] 今田, 鈴木, 宮原

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