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National Institutes of Natural Sciences

ひので: 今サイクル初の巨大フレアを観測

2011年3月11日
自然科学研究機構 国立天文台
宇宙航空研究開発機構

2011年2月15日 午前10時44分(日本時間)に太陽表面で巨大フレア(爆発現象)が発生し、これを太陽観測衛星「ひので」が観測しました。 この観測の静止画とムービーを公開します。

この太陽フレアは、図1(全面像) 矢印の位置の黒点(活動領域 NOAA 11158)で発生しました。 「ひので」による観測は、X線望遠鏡(XRT)と可視光・磁場望遠鏡(SOT)によって行なわれました。

ここ数年の太陽活動は、前回の活動サイクルの極小期が延び、2009年に新たなサイクル(第24活動周期)が始まりましたが、今までよりも活動の立ち上がりが遅く、大きなフレアが起きていない状況が続いていました。 今回のフレアがこのサイクルでの最初のXクラス(大規模)フレアとなります。 今後、太陽活動はより活発になり、今回を上回る大規模フレアの発生頻度が高くなることが予想されます。

以下、観測時刻は世界時(UT)で表記しておりますので、日本時間にするには9時間を足してください。(世界時2時 = 日本時11時)

  • 全面像 静止画
    SDO/HMI 白色光 XRT全面像
    図1 左: SDO衛星 HMI によるフレア直前の太陽(白色光) (NASA)
    右: 「ひので」XRTによるX線全面像(フレア初期) 01:49:05UT
    それぞれ、矢印の先が今回のフレアが起きた黒点(活動領域)(クリックすると拡大)
  • 全面像 動画:

    X線全面像ムービー(mov)

可視光・磁場望遠鏡で見たフレア

それぞれの画像は観測範囲の移動に合わせて位置合わせを行っています。 観測範囲の移動は、フレア観測モードに入った望遠鏡が自動で爆発の起きる部分を判断し、必要な部分だけを短い時間間隔で切り出しているために起きます。

  • カルシウム H線 (397ナノメーター)でのフレア

    X線望遠鏡で見たフレア

    • 静止画
      フレア初期
      図5: フレア初期 01:50:20 UT
      フレア終盤
      図6: フレア終盤 02:01:38 UT
      フレアの後
      図7: フレアの後の活動領域 03:22:56 UT
      (それぞれクリックすると拡大)
    • 動画:

      X線望遠鏡で見たフレア(mpeg: 512x512)

    可視光・磁場望遠鏡で見た黒点の磁場

    フレア発生場所
    フレア発生場所の視線方向磁場
    フレア発生場所の磁場と向き
    図8: (上) 白色光で見た黒点 (中) 光球磁場 白黒は垂直方向磁場、 (下) 光球磁場に磁場の向き(青線)を重ねたもの。
    (クリックすると拡大)

    図8はこのフレアを起こした活動領域(黒点)の磁場を示しています。 上段は白色光で見た黒点群の様子で、いくつかの大きめの黒点と小さな黒点が多数あります。 このうち、フレアを起こしたのは中央の黒点です。 中段はこの黒点の視線方向(上下方向)の磁場を表したもので、黒が磁石のS極、白がN極を示しています。 中央の黒点は大きなS極とN極が隣接しており、さらに細かなそれぞれの極が入り組んで存在しております。 下段は、中段の図に磁場の向きを青線で重ねたものです。 中央の黒点でS極N極(白黒)が接する部分で磁場の向きが接する方向に傾いています。 それぞれの極が反対方向に動くことで磁場が引き延ばされねじられて、エネルギーが多く蓄積さつつあることが分かります。 大規模フレアを起こす黒点では、このような磁場をねじる動きがしばしば見られます。

    今回のフレアの規模

    GOES Plot of 2011/2/15
    図9: GOES衛星で観測された軟X線放射強度プロット

    図9は気象衛星GOESで測定された太陽からのX線放射強度のプロットです。 横軸は時間で原点は 2011年2月15日 0時0分(世界時) です。 縦軸は観測されたX線放射強度で、原点は 10-9 W m-2 です。 2時ごろに急激に上昇しているのが今回のフレアです。 開始は1時44分で、X線放射のピークは 1時55分ごろでした。 ピーク時の放射強度から、このフレアの規模はX2クラスと分類されます。 「ひので」は1時50分にフレア観測モードへ切り替わっています。 この後、X線放射は2時間以上かけてゆっくり低下していますが、その途中でも何度か別のフレアが発生しています。

    解説: 太陽フレアの規模

    一般的に太陽フレアの規模は、アメリカの気象衛星GOESで観測される大気圏外の軟X線強度で分類され、低い方から10倍(1桁)上がるごとに A, B, C, M, X と表されます。 Cクラスは小規模、Mクラスは中規模、Xクラスは大規模のフレアに相当し、M1クラスの軟X線強度は 10-5 W m-2 です。 ちなみに、観測開始以来最大の太陽フレアは、2003年11月4日に起きたX28クラスです。 今回のフレア(X2)よりも10倍以上規模が大きかったことになります。

    解説: 「ひので」の太陽フレア観測

    ひので外観
    太陽観測衛星「ひので」

    太陽でフレアが起きると、「ひので」はその発生を自動的に検出し、あらかじめ設定された「フレア観測モード」で観測を行います。

    フレアの発生の検出は X線望遠鏡のパトロール観測で行い、X線放射強度の急激な増加を検出します。X線放射強度が規定以上になると、その増加した場所の周囲に視野を区切って時間間隔を短くし、フレアの物理量を測定するのに最適なフィルターを用いた「フレア観測モード」を決められた時間(今回は10分間)行います。 観測動画で時計の進みがゆっくりになる部分は「フレア観測モード」で時間間隔が短くなっている時間帯です。 今回は可視光・磁場望遠鏡とX線望遠鏡が「フレア観測モード」でフレアを観測しました。

    このフレアに関する他のリリース

    「ひので」での過去の太陽フレア観測

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国立天文台 ひので科学プロジェクト 2011.3.11