写真で見るコンタミネーションとの戦い
1.コンタミネーションとは?
2.アウトガスの測定
戦うためには、まず相手を知らなければいけません。まず、望遠鏡で使う全ての材料のアウトガス量を自分達で測定することにしました。複合材料、接着剤、テープ、コネクタ、ケーブル・・・数十種類の試料をメーカーから提供してもらい、1つ1つアウトガスを測定していきました。この測定の結果で使用の可否を判断していきます。1つでも見逃せば、それが大量のアウトガスを放出して鏡を汚してしまう可能性があるのです。
3.フライト部品のベーキング
□ベーキング真空槽 |
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左写真は、CFRPでできた構体のベーキングのために真空槽の中にクレーンで入れているところです。 下写真は、各部品のベーキングの様子です。 |
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望遠鏡のカバー |
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熱制御フイルム |
4.地上におけるコンタミネーション管理
□ 汚染評価ミラーと真空紫外線反射率測定装置
地上では、望遠鏡と同じ環境に汚染評価用ミラー(MgF2ミラー:Witness Mirrorと呼ぶ)を置いて、このWitness Mirrorを使って光学部品が汚染されていないかどうかチェックします。汚染物質は真空紫外線に吸収されやすいので、ライマンα光(1216Å)の反射率で評価します。使用したWitness Mirrorは、真空紫外線で80%以上の反射率を持っています。
左上写真は、国立天文台にある真空紫外線反射率測定装置です。この装置は、放電管(水素ガスを使用)、斜入射型分光器、真空槽からなり、真空槽の中には、左下写真のようにWitness Mirrorと真空紫外線を検出可能なシリコンフォトダイオードが配置されています。
このようにして、地上でのコンタミネーション評価をしてきましたが、今までにWitness Mirrorの汚染が確認されたことはなく、プロジェクト全員の努力によるコンタミネーション管理によって現在まで望遠鏡はきれいに保たれてきたということです。
しかし、コンタミネーションとの戦いは衛星の打ち上げまで続きます。内之浦の射場でも最後まで徹底したコンタミネーション管理がなされています。
−以上−
国立天文台 先端技術センター 田村 友範
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