部分日食観測 〜月の凹凸が見えた!〜
太陽観測衛星「ひので」は、日本時間 2007年2月18日午前1時 (世界時では17日16時)に軌道上で起きた部分日食を観測しました。
今回の日食は地上約700kmを周回する衛星軌道でのみ起きたもので、 太陽の南側を月の北側が通過しました。
0.2秒角の分解能を誇る可視光・磁場望遠鏡(SOT)では、月の影から 月の縁の地形のでこぼこを捕えることができました。月面での 0.2 秒角は400mに相当します。また、観測画像の月の縁の形から その付近にあるクレータの名称を割り出すことができました。
この観測画像は画像解析により分解能を10倍以上、つまり月面での 40mより小さいものを判別できる程度にまで引き上げることができると 見込まれ、月の縁を横から見ているため高さが精度良く割り出せる ようになります。このようにして得られた月面の高度データを 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年(2007年)に打ち上げる予定の 月探査周回衛星(SELENE:セレーネ) に搭載される レーザー高度計の観測との比較に活用できると期待されています。
ひのでミッションとしては、今回得られた観測データを用いて、 本来真っ暗な月の陰に回り込む太陽光、すなわち光学系の散乱光の 影響を解析し、今後の観測精度の向上に役立てます。
- 可視光・磁場望遠鏡(SOT) 静止画/ムービー
Gバンド(430.5nm) での観測で、背景は太陽光球の粒状斑が見えています。
(A): 2007.2.17 16:09:24(UT) |
(1):クレータPetermann Yの窪地 (2):クレータNansenの窪地 (3):クレータRozhdestvenskiy W の窪地 |
(B): 2007.2.17 16:10:08(UT) |
(3):クレータRozhdestvenskiy W の窪地 (4): この付近クレータ Hermite の外縁部 |
(C): 2007.2.17 16:10:46(UT) |
(5): この付近クレータ Lovelace の外縁部 (6): この付近クレータ Brianchon の外縁部 |
(D): 2007.2.17 16:11:27(UT) |
(6): この付近クレータ Brianchon の外縁部 (7): この付近クレータ Lindblad の外縁部 |
ムービー:
- 写っている部分の月面図
月の北極付近です。太線で書かれている部分が SOT 静止画に写っている 部分です。この付近をま横から見ていますが、横から見て一番高い部分 の影を見ていることになります。
図中の (A),(B),(C),(D) はSOT静止画で写っているおおよその範囲、 (1),..,(7) は静止画の地名の位置を示しています。 中央が月の北極、手前が地球側、奥が月の裏側の方向になります。
- X線望遠鏡(XRT) 静止画/ムービー
X線望遠鏡(XRT)では、太陽コロナを背景に、陰となった 月が通過する様子が捕えられました。
2007.2.17 16:09:00(UT)
ムービー:
協力: 相馬 充(国立天文台)
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