開発経緯

写真で見る可視光望遠鏡の開発

可視光望遠鏡(OTA)は口径50cmの大型主鏡を搭載した回折限界性能 (その口径で原理的に解像できる最大の分解能) を持つ世界で最大・最高性能の太陽観測のための宇宙望遠鏡です。 可視光望遠鏡は、緑色の光で 0.2秒角(1秒角は1度の3600分の1)の解像度を持ちます。 0.2秒角というと、太陽面上の150kmの大きさ、(実際には見ることが できませんが)高度500kmの軌道から地球上の50cmの大きさのものまで分解できます。 可視光望遠鏡の組立ておよび主な試験は、国立天文台先端技術センター で行われました。ここでは、可視光望遠鏡の開発を写真でつづります。
(写真をクリックすると大きな画像が表示されます。)

[OTAプロトモデル組み立て期]

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高精度平面鏡。OTAの干渉計波面測定の際にレーザー光の折り返し鏡として用いる。直径68cm(有効径60cm)で、支持機構の影響を含んだ波面精度は15.4nm rmsである。OTAの姿勢に応じて、平面鏡は反転できる。また、平面鏡自身の波面の寄与(軸対称成分以外)を除くため、平面鏡は軸回りに回転する。
2000/8/29 21:24

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OTA(Optical Telescope Assembly:可視光望遠鏡)プロトモデル(試作品)の組立て開始。ISASクリーンルーム内にNAOJクラス100クリンブースを設置、中にOTA組み立てタワーを置く。 タワーの中にOTAトラスが見える。
2001/9/28 18:40

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OTA組み立てタワーは、OTAの組み立てと光学性能の測定、調整を行います。          

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OTA光学タワーの最上部には、口径50cmの高精度平面鏡が設置され、干渉計を用いて所定の分解能が出るように望遠鏡を調整していきます。写真は望遠鏡の開口部に設置された平面鏡。

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調整中のOTA

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干渉計で見た干渉縞

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OTA光学タワーには望遠鏡をさかさまにする機能があります。上下逆向きで測定を行い、重力の影響をキャンセルします。

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OTAプロトモデル完成。ISASの30t水平加振機にて 単体振動試験。本体は、ほこりよけのフィルムで覆われており見えません。)
2002/03/14

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OTAを軌道上と同じ真空・温度環境において所期の光学性能(回折限界性能)がでるか確認するための大型スペースチャンバー。真空容器内の望遠鏡は、液体窒素が流れる壁(シュラウド)で覆われています。また、光学測定のための大型平面鏡や干渉計による計測のための光学窓が設置されています。
2002/4/9 13:21

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スペースチャンバー内には、このように望遠鏡が設置されます。測定のための精密平面鏡が内部に、干渉計が外部に設置されます。

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場所がなく、ISAS 構造棟の一角を借りて OTA熱光学試験を開始。奥に、熱光学チャンバーが見えます。アルミホイルで覆われているのは、チャンバーを高温にしてベーキング(汚染物質を飛ばす)のための保温。
2002/6/1 18:30

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衛星MTM(構造試作モデル)振動試験。このOTAは、プロトフライトモデルといって、試作品=フライト品(主構造)です。
2002/5/30 14:12

   Heater 2.jpg

主鏡など太陽光が当たって熱を帯びる部分にはヒーターを貼り付け熱入力を模擬します。また、望遠鏡の温度の計測のため、各部に熱電対がはってあります。これらのダミーヒーターやセンサーは試験のためですので、試験終了後とりはずされます。

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TTM(熱試験用のモデル)による熱真空試験。ISASチャン バー前室にて OTAトップドアを開けたところ。
2002/10/10 19:08 

        TVtest 2.jpg  チャンバーにいれます。

[OTAフライト光学品単体試験]

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主鏡は口径50cmのULE(超低膨張ガラス)を極限まで軽量化したもので、鏡面を変形させない特殊な支持機構で支えられている。ガラス鏡の振動試験の前に、慎重を期してアルミダミー鏡による振動衝撃試験を実施。
2002/8/27 17:35

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CLU(コリメーターレンズユニット)は、望遠鏡から焦点面パッケージ(FPP)に光を渡すための、可視光波長全域にわたって無収差の屈折光学系です。写真は、CLUのフライト品。
2002/11/29 11:06

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CLUフライト品の光学性能測定(NAOJ三鷹)
2002/11/29 11:31

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CLU熱真空試験、シュラウドによる温度制御(NAOJ三鷹)
2003/7/14 10:30

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OTA用CTM-TM(チップチルト鏡)の単体性能試験(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2003/10/17 11:29

[OTAフライトモデル組み立て期

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国立天文台先端技術センター高度環境試験棟に作られた光学望遠鏡のためのクリーンルーム(190平米)。天井の穴から太陽光および星光をクリーンルーム内に導入できる。中には、特に清浄度の高いクリーンブースが設置され、クリチカルな作業はこの中で行われる。クリーンルームの中には、光学試験用スペースチャンバー、液体窒素供給装置、大型定盤、干渉計、3次元測定器、クリーンデスク、精度ライト、基準平面鏡などが設置されている。
2003/3頃

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NAOJ高度環境試験棟クリーンルームにてOTA-フライトモデルの組立て開始。 OTA横転台車に載ったOTAトラス。
2003/10/2 17:38

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OTA主鏡フライトモデルの検査(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2003/11/22 14:17

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ロワーチューブ(望遠鏡の外套部の一部)を高温にして観測に障害となる不純物ガスを取り除いています(ベーキングと言います)。
2004/2/12 16:34

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光学系の組み付け後、OTA熱シールドチューブ(上部カバー)を 取り付ける(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2004/3/17 20:06 

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OTA主鏡と主鏡中央の2次絞りユニット
2004/3/18 17:16

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OBU(衛星側の光学ベンチユニット)の高度環境試験棟への搬入
2004/7/23 13:38

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焦点面観測装置(FPP)のOBUへの取り付け(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2004/8/3 11:18

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OTAとFPPが結合しSOTとして完成(NAOJ高度環境試験棟 クリーンルーム)
2004/8/3 11:56

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ヘリオスタット。平面鏡で太陽を追尾し、NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム屋上から、クリーンルームに光束54cmの太陽光を鉛直方向に導く。第一面鏡直径90cm、第ニ面鏡直径70cm、また、クリーンルーム天井は外気を遮断し太陽光を通す厚さ8cmの光学窓(有効径54cm)で密閉されている。
2004/14:41

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クリーンルーム屋上のヘリオスタットから導いた太陽光を用いてSOT太陽光試験。天井およびSOT右手に見える光はOTAから排出された不用の太陽光(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2004/8/16 14:50

tower 2.jpg

望遠鏡にアクセスするため3階建てのビル並みのやぐらが必要です。第2光学タワーと呼ばれました。
2004/11/23 12:18

Tower (1) 2.jpg

第2光学タワーの外観図

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衛星レベル微小擾乱試験。スプリングで吊り上げられた衛星(上から見る) (ISAS新クリーンルーム)
2004/11/30 11:49

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衛星レベル微小擾乱試験。スプリングで吊り上げられた衛星(下から見る) (ISAS新クリーンルーム)
2004/11/30 15:34

[OTAフライトモデル完成期]

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ここから最終組み立てです。OTA副鏡・排熱熱鏡部の最終調整(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/3/3 14:42

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OTAロワーチューブ取り付け前の最終検査(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/3/4 13:39

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OTA熱シールドチューブの取り付け(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/3/5 18:54

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最後のOTA熱光学試験。OTAを逆さまにして熱光学チャンバーへ吊り込み(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/3/9 10:49

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OTAトップドア展開試験(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/4/6 13:39

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OTA単体音響試験(筑波宇宙センター・1600立方メートル音響試験施設)
2005/4/13 11:02

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OTAフライトモデル完成記念(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/4/27 18:16

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MLI取り付けが完了し、ドアの取り付けのみを残した OTAフライトモデル(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2005/4/27 18:23

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FPP単体光学性能試験(NAOJ高度環境試験棟クリーンルーム)
2006/1/30 17:06

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打上前最後のSOT光学試験。試験タワー内でOTAトップドアを 開けたところ。(ISASクリーンルーム)
2006/7/8 20:09

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Solar-B衛星完成(ISASクリーンルーム)
2006/7/19 14:44

国立天文台 SOLAR-B 推進室 末松 芳法

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