最先端望遠鏡の特徴

最先端望遠鏡の特徴

太陽の大気は層をなしていて、表面(光球)よりも内側の層は直接見ることはできませんが、光球から上の層については、各層が違った波長の光を出すので、見る光の波長を変えることで、それぞれの層を見ることができます。「ひので」は観測する波長域の異なる3つの望遠鏡を搭載することで、光球からコロナ(上層大気)までを同時に観測することができるのです。

0a07548b45e15f97503f304e12bd9f16f57e8e7a.png
©国立天文台

可視光・磁場望遠鏡

image05.png
可視光・磁場望遠鏡(SOT)(©国立天文台)

可視光・磁場望遠鏡(SOT)は、可視光領域において高い空間分解能で連続して太陽を観測する観測装置です。

SOTでは、ある波長の光だけを通すフィルターを通して太陽を観測することで、その光を主に発する大気の様子を詳しく調べることができます。図の左は光球から発せられる光で見た画像、図の中は彩層から発せられる光で見た画像です。また、ある特定の波長の光の偏光を測定することで、太陽表面の磁場を測ることができます(詳しくは下の囲み記事を参照)。図の右は太陽表面磁場の分布の様子を示しています。

image2.png
「ひので」SOTが取得した3種類の画像。
(左)光球の画像。(中)彩層の画像。(右)磁場分布(©国立天文台/JAXA)

image07.png
磁場の分布では、N極とS極を見分けることができます。
(白いところがN極、黒いところがS極です)(©国立天文台/JAXA/HAO)

偏光測定により太陽の磁場を測る

磁場があると、磁場に感度のあるスペクトル線は偏光することが知られています。偏光とは、波の振動の方向がそろうことです。偏光の様子は、ポラロイドのような特殊な光学素子を用いることにより測定することができます。ですから、磁場に感度のあるスペクトル線の偏光を測定することにより、その光が発せられている場所の磁場を調べることができるのです。

X線望遠鏡

imgp2492.jpg
©国立天文台

X線望遠鏡(XRT)は、極端紫外線やX線で、太陽の高空間分解能画像を撮る観測装置です。X線はコロナ(外層大気)から放出されます。したがって、XRTではコロナの様子を観測できます。図は、XRTが取得した太陽全面像と、黒点上空のX線クローズアップ画像です。

image10.pngimage13.png
「ひので」XRTが取得した太陽全面像と、黒点上空のコロナのクローズアップ
©国立天文台/JAXA/モンタナ州立大学)

極端紫外線撮像分光装置

image12.jpg
©国立天文台

極端紫外線撮像分光装置(EIS)は、極端紫外線領域で撮像分光が可能な望遠鏡です。極端紫外線とは、紫外線の中でも波長の短い紫外線(可視光から最も波長の異なる紫外線)のことを言います。この波長域では主に遷移層やコロナからの放射を観測することができます。

遷移層は、彩層とコロナをつなぐ薄い大気の層です。彩層の温度は1万度、コロナの温度は100万度以上ですが、遷移層はその間をつないでいて、温度が1万度から100万度まで、急激に変化する領域になっています。EISでは、この遷移層からコロナにかけての様々な温度の大気の様子を見ることができます(下の囲み記事参照)。図は、EISが取得した活動領域の画像です。様々なイオンの状態にある鉄の元素が放射する、いろいろな波長の紫外線で撮影したものです。左の画像から右の画像へいくにつれて、温度の高い大気を見ています。それぞれ、約60万度、140万度、300万度の大気の様子が示されています。

温度ごとの太陽の姿を見る

例えば、鉄は原子番号26、つまり電子を26個もつことができる元素です。高温なコロナの中では、電子がはがれて鉄イオンとして存在し、温度が高くなるほど、はぎとられる電子の数が多くなります。同じ元素でも、もっている電子の数が違うと、違う波長のスペクトル線が発光します。したがって、鉄イオンがいろいろな温度で光らせているスペクトル線を、みな観測すれば、それぞれの温度の太陽大気の様子を同時に見ることができます。

image15.png
極端紫外線でも、波長によって見え方が変わる(©国立天文台/JAXA)

また、EISでは、分光観測によりプラズマの奥行き方向の運動を知ることができます(下の囲み記事参照)。図(左)は活動領域コロナの画像、(右)は各点でのプラズマの奥行き方向の速度を色で表した図で、遠ざかっていく動きを赤色、近づいてくる動きを青色で表しています。

分光観測により奥行き方向の速度を求める

撮像観測では、2次元の面内の物質の動きは分かりますが、奥行き方向の動きは分かりません。奥行き方向の動き、つまり、物が私達に近づいてくるのか遠ざかっていくのかを調べるためには、どうしたらよいでしょうか?救急車のサイレンの音を思い出してください。走っている救急車のサイレンの音の高さが変化して聞こえる場合がありますね。これは、音が波で、音を出している物が近づいてくるときには波長が短くなり、遠ざかっていくときには波長が長くなるからです(ドップラー効果といいます)。光も波なので、同じように、光を出している物が近づいてくるときには波長が短くなり、遠ざかっていくときには波長が長くなります。ということは、もともとの光の波長が分かっていれば、観測される波長がもとの波長より短いか長いかで、光を出している物がこちらに近づいてきているのか、遠ざかっていっているのかが分かるのです。したがって、分光して光の波長を測定すれば、奥行き方向の速度が分かります。

image14.png
コロナの様子を普通に撮影(左)分光観測で速度が分かる(右)
赤が遠ざかるプラズマ、紫がこちらに近づくプラズマ
©:国立天文台/JAXA)

当ページの画像、映像のご利用については、こちらをご覧ください。当ページの画像、映像でクレジットが明記されていないもののクレジットは『国立天文台/JAXA』です。当ページ内の、クレジットが『国立天文台/JAXA』、『国立天文台/JAXA/MSU』および『国立天文台、JAXA、NASA/MSFC』である著作物については、国立天文台が単独で著作権を有する著作物の利用条件と同様とします。著作物のご利用にあたっては、クレジットの記載をお願いいたします。なお、報道機関、出版物におけるご利用の場合には、ご利用になった旨を事後でも結構ですのでご連絡いただけますと幸いです。ご連絡はpress(at)hinode.nao.ac.jp((at)は@に置き換えてください)にお願いいたします。

page top