Q&A

Q. 「ひので」(SOLAR-B)衛星はいつ打ち上げられたのですか?
A. 2006年9月23日 午前 6時 36分(日本標準時) に打ち上げられました。

Q. 「ひので」はどこで打ち上げられたのですか?
A. 鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。宇宙科学研究所がM-V型ロケットで上げた最後の科学衛星です。

Q. 「ひので」の大きさは?
A. 縦1.6m x横1.6m x高さ4mです。つまり、衛星を縦にたてるとその高さは大人の2倍以上になります。また、太陽電池パネルは広げると全長10mにもなります。

Q. 「ひので」と「ようこう」とどう違うの?
A. 「ようこう」は主にX線で太陽を観測しましたが、「ひので」はX線に加えて、可視光線と極端紫外線とでも太陽を観測します。

Q. 「ひので」の太陽観測衛星としての特徴は?
A. 高い空間分解能と長時間安定した磁場観測が一番の特徴です。

Q. 「高い空間分解能」ってどれくらいですか?
A. 可視光・磁場望遠鏡(SOT)の空間分解能は0.2~0.3秒角(観測波長による)で、太陽表面の140~210 km程度の現象をとらえることができます。これは視力でいうと、視力300程度に換算できます。X線望遠鏡も、約1秒角(太陽表面の700 km程度)という、これまでにない高空間分解能を実現しています。

Q. 「ひので」の寿命はどれくらいですか?
A. 設計寿命は3年でしたが、2016年3月現在、9年半にわたり運用を続けています。あと数年は貴重な太陽のデータをとり続けてくれることを期待しています。

Q. 「ひので」は太陽のまわりをまわっているのですか?
A. いいえ。地球のまわりをまわっています。地球の大気の外をまわっているということが重要なのです。地上の観測では、大気のゆらぎの影響を受けますし、大気で吸収される紫外線やX線は観測できないからです。

Q. 「ひので」は太陽までの距離は地上から観測するのとそんなにかわらないのにどうしてきれいな太陽の画像が撮れるの?
A. 地球の大気の外に出て撮っているため地球大気のゆらぎの影響を受けないことと、宇宙望遠鏡としては大きな鏡の直径で、高い空間分解能を実現したことにより、遠くからでもきれいな画像が撮れます。

Q. 「ひので」は地球からどれくらい上を飛んでいるの?
A. 高度680kmです。

Q. 「ひので」はどれくらいの時間観測しているのですか?地球の影に入って太陽を観測できない時はどのくらいありますか?
A. 「ひので」は太陽同期極軌道を周回しています。この軌道は、地球の昼と夜の境目から少しだけずれた、北極と南極の上空を通る軌道です。ですので、ほとんど常時、太陽を観測できますが、地球の自転軸が傾いている影響で、1年間に2カ月間くらい、1日のうち数時間、地球の影に入って太陽を観測できない時があります。

Q. 「ひので」はどこが作っているのですか?
A. 国立天文台と宇宙航空研究開発機構が協力して作りました。また、各観測装置はアメリカやイギリスとの国際協力で作っています。

Q. 「ひので」の計画はいつ頃から始まったのですか?
A. 「ようこう」の打ち上げ直後(~1993年)から検討は始めていました。正式に「ひので」の計画は始まったのは1998年ですが、それでも2006年の打ち上げまでに8年以上の月日がかかっていることになります。

Q. 「ひので」にはどれくらいの人が関わっているの?
A. 国立天文台、宇宙航空研究開発機構、各企業、海外の関係者も合わせると300名近くの人が「ひので」の運用に関わっています。

Q. 「ひので」は太陽の何を見ているのですか?
A. 太陽が出す可視光、極端紫外線、X線を観測します。光球、彩層、コロナといった大気層がそれぞれ違った波長の光を放出するので、見る光の波長を変えることで、それぞれの大気層を見ることができます。また、光球のスペクトル線を偏光分光観測することで、光球の磁場を測ることができ、遷移層、コロナからの極端紫外輝線を分光することで、プラズマの奥行き方向(視線)速度を調べることができます。 これらの観測により、なぜコロナが高温なのか、太陽フレアはどうやって起こるのかなどの太陽物理学の謎に迫ります。

Q. 「ひので」は太陽の内部は見られるの?
A. 直接太陽の内部を見ることはできません。しかし、日震学の方法を使って内部の様子を調べる研究が進んでいます。

Q. 「ひので」で太陽以外の星を見ることがありますか?
A. 太陽以外の星を見ることはありません。でも、太陽の前面や近傍を通過していく月、水星、金星、彗星などが「ひので」の望遠鏡の視野の中に入って観測したことはありました。

Q. 「ひので」で観測した太陽画像はリアルタイムで見られるのですか?
A. 「ひので」は観測したデータを地上にある受信局の上空を通った時に送信する(データを降ろす、英語ではダウンリンクと言います)タイミングがあるので、必ずしもリアルタイムで見られるわけではありません。

Q. 太陽に関して何か参考になる本を教えてください。
A. 以下の本を紹介します。

「最新画像で見る 太陽」柴田一成・浅井歩・磯部洋明・大山真満(ナノオプトニクス・エナジー出版局) ISBN: 978-4-7649-5518-9
「太陽の科学 ここまでわかった太陽の姿」藤井旭(偕成社)  ISBN: 4035341401
「宇宙と天文No.4 特集・太陽に挑戦」(誠文堂新光社) ISBN: 4416200064
「太陽へのたび」川上新吾(恒星社厚生閣)ISBN: 978-4-7699-1046-6
「太陽に何が起きているか」常田佐久(文藝春秋)ISBN: 978-4-16-660888-1

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