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石川遼子助教が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

 SOLAR-C準備室の石川遼子助教が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。受賞の理由となった業績は「飛翔体観測装置を駆使した太陽磁場に関する観測的研究」です。太陽観測衛星「ひので」のデータから、黒点の磁場とは異なる「短寿命水平磁場」が太陽全面に存在することを発見し、それらが乱対流による磁場生成機構により発生していること、そのエネルギー量が コロナの加熱をまかなうのに十分であることを示しました。さらに、国際協同観測ロケット実験CLASPの開発中心メンバーの一人としてその成功に貢献し、コロナ加熱の謎解明に不可欠な太陽上空磁場の測定手段として紫外線偏光観測という新たな道を切りひらきました。
 この賞は、文部科学大臣が、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的として、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を対象に与える賞です。2018年4月17日に、文部科学省にて表彰式が行われました。石川助教は、若手科学者賞受賞者99名の代表として、林文部科学大臣から直接、賞状を受け取りました。

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林文部科学大臣から賞状を受け取る石川助教(©国立天文台)

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賞状を手に、記念撮影(©国立天文台)

石川助教のコメント

 この度、日本が誇る太陽観測衛星「ひので」や観測ロケット実験CLASPの科学成果で大変名誉ある賞をいただくことができ、とてもうれしく思うとともに大きな励みとなりました。一緒に研究や実験をやってきた先輩、後輩、学生のみなさん、そして心身ともに支えてくれている家族に感謝します。

受賞理由の解説

 6000度の太陽表面から上空にエネルギーが運ばれ、100万度以上の大気=コロナを形成するメカニズムには磁場がかかわっていると考えられ、その解明には太陽表面からコロナまでつながる磁場の様相を観測により明らかにすることが極めて重要です。

◇太陽観測衛星「ひので」を用いた「短寿命水平磁場」の発見と探求
 石川助教は、太陽観測衛星「ひので」による太陽表面の高精度磁場測定データから、黒点磁場とは異なる「短寿命水平磁場」が太陽の全面に存在することを発見し、その起源が黒点磁場と異なり、太陽表面付近の対流運動により磁力線が引き伸ばされて増幅されることで生成することを提案しました。さらに、この磁場の持つエネルギー量が、コロナの加熱をまかなうのに十分な量であることを示し、この磁場はコロナの加熱の謎を解くのに重要な研究ターゲットとして一躍脚光を浴びました。

◇太陽観測ロケット実験CLASPによる太陽上空磁場の新しい測定手段の開拓
 コロナの加熱の謎にさらに迫るためには、「ひので」が測定している太陽表面磁場だけでなく、上空の磁場情報が不可欠です。しかし、上空へ行くと磁場強度は弱くなるので、測定は困難です。石川助教らは、太陽表面の上の彩層、および彩層とコロナの境界層である遷移層が放つ紫外線の偏光をとらえて彩層・遷移層の磁場情報を取得する観測装置を開発し、ロケットに載せて観測する「CLASP」実験を実施しました。得られたデータを解析し、その中に彩層・遷移層磁場の存在を示す偏光成分があることを明らかにしました。これは、今後の太陽上空磁場測定に、「紫外線偏光観測」という新たな道を切りひらいた、極めて重要な成果です。現在、石川助教は、2019年に実施予定の再飛翔実験CLASP2プロジェクトの日本チームのPIを務め、観測装置の開発を牽引しています。

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