日米欧国際共同ロケット実験 CLASP2 チームが NASA/MSFC Group Achievement Honor Award を受賞
日米欧国際共同ロケット実験CLASP2チームは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) より、マーシャル宇宙飛行センター (MSFC) Group Achievement Honor Awardを受賞しました。この賞は、個々の力を結集させることにより、顕著な業績を上げたグループに贈られるものです。日本からは、開発に携わってきた14名が受賞しました。
NASA/MSFCから授与された賞状 (Credit: NASA)
CLASP2 (Chromospheric LAyer Spectro-Polarimeter) は、NASAのロケットを用いた太陽観測実験です。ロケット搭載の観測装置は、フランス、アメリカと協力し、国立天文台が中心となって開発を進めました。CLASP2は、2019年4月11日 (アメリカ山岳部夏時間)、アメリカ合衆国ニューメキシコ州・ホワイトサンズミサイル実験場から打ち上げられ、世界初となる近紫外線域 (波長280 nmの電離マグネシウムによるスペクトル線近傍) の高精度偏光分光観測に成功しました。
今回の受賞に関して、日本側研究代表者である石川遼子助教 (国立天文台) は、「CLASP2の開発をはじめたのは、その前身であるCLASPが打ち上げられた2015年のことでした。それから2019年の打ち上げまでの4年にわたる私たちの開発の苦労、そして日米欧のチームワークが、このような形で評価され、とてもうれしいです。CLASP、そしてCLASP2はそれまで困難とされてきた紫外線の偏光分光観測に挑んだ画期的な観測装置です。その実現のため、国立天文台の先端技術センター、国内外のメーカーの技術を結集させました。チームメンバーはもとより、CLASP2に携わってくださった全ての方々にお礼を申し上げます。」と喜びを語りました。
時を同じくして、CLASP2 最初の科学成果が発表されました (CLASP2 初期成果は こちら [リンク])。ひので衛星との協調観測により、太陽表面からコロナ直下に至る磁場の姿を描き出すことに成功しました。チームはさらなる解析を進めており、今後もさまざまな科学成果が期待されます。
東京にはCOVID-19に係る緊急事態宣言が発令されていたこともあり、受賞メンバーはオンラインで集まり、賞状を手に記念の集合写真を撮影しました。
ZoomによるCLASP2日本メンバーの受賞記念オンライン集合写真。14名中10名が撮影に参加。
NASA マーシャル宇宙飛行センターから賞状が授与された日本チームのメ ンバーは以下の通りです。
- 石川 遼子 (国立天文台・SOLAR-C プロジェクト、日本側研究代表者)
- 鹿野 良平 (国立天文台・JASMINE プロジェクト、代表補佐)
- Song Donguk (国立天文台・太陽観測科学プロジェクト、日本側インストルメン トサイエンティスト)
- 吉田 正樹 (総合研究大学院大学・博士号取得)
- 岡本 丈典 (国立天文台・ALMA プロジェクト、日本側プロジェクトサイエンティ スト)
- 石川 真之介 (元名古屋大学)
- 浦口 史寛 (国立天文台・先端技術センター)
- 久保 雅仁 (国立天文台・SOLAR-C プロジェクト)
- 坂尾 太郎 (宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所)
- 篠田 一也 (国立天文台・SOLAR-C プロジェクト)
- 末松 芳法 (国立天文台・太陽観測科学プロジェクト)
- 都築 俊宏 (国立天文台・先端技術センター)
- 成影 典之 (国立天文台・太陽観測科学プロジェクト)
- 原 弘久 (国立天文台・SOLAR-C プロジェクト)
[関連リンク]
CLASP2チームがアメリカ航空宇宙局より表彰されました (国立天文台): https://www.nao.ac.jp/news/topics/2021/20210220-award.html
NASA/MSFC オンライン授賞式の様子 (YouTube) : https://youtu.be/PFR6C42twGc
CLASP2 初期成果: http://hinode.nao.ac.jp/news/results/clasp2-publication-202102/index.html
CLASP2 打ち上げ成功: https://hinode.nao.ac.jp/news/topics/clasp2-launch-20190422/
CLASP2 ホームページ: https://solarwww.mtk.nao.ac.jp/Rocket_balloon_experiments/CLASP2/index_j.html
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