研究成果

太陽観測衛星「ひので」 太陽極域磁場反転の進行を確認

自然科学研究機構 国立天文台
独立行政法人 理化学研究所



発表概要

国立天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームは、太陽観測衛星「ひので」により 2012年9月に太陽北極域の磁場を観測しました。その結果、太陽北極深部で磁場の反転が急速に進んでいる一方、南極全域の磁場は依然として変化が少ないことを確認しました。今回の発表は、2012年4月に行った太陽極域磁場反転に関する研究発表のその後の状況について報告するものです。

太陽の北極域が地球側を向く2012年秋は、太陽北極点を含む北極深部の観測の好機です。「ひので」は、2012年9月10日から10月7日にかけて集中的に観測しました。今回の観測によって、太陽北極で磁場の反転が進んでいることが確認されました。  図1に今回の観測結果を、図2に比較のために、2007年9月[太陽活動の極小期]の観測結果を示します。今回の画像では、2007年9月に見られた大量の負極の強磁場斑点(オレンジ〜赤色)の数が激減し、また一つ一つの磁場斑点の大きさが小さくなっています。逆に、無数の正極の強磁場斑点(青色)が、低緯度側を中心に現れています。これは、全体として、北極の反転が進んでいる証拠です。

図3は、これまでの「ひので」による極の平均磁場量の時間変化を示しています。北極の負極磁場の量は前回の報告に引き続き減少傾向を続けています。一方、正極磁場の量は変化がほぼありません。北極全体としては磁場の反転が進行しているといえます。「ひので」の観測により極磁場の反転が低緯度側から起きることもはっきりしました。北極については、低緯度側から反転が急速に進行し、現在緯度75度以北まで正極になっていると推定されます(図4)。

反転が進行する北極に対して南極磁場は、2013年1月の最新の観測でもそのような反転の兆候は見られず、正極が依然として維持されていることが分かりました。

第24太陽サイクルの極大期は、2013年秋で、その時の平均相対黒点数は69と予想されています( http://solarscience.msfc.nasa.gov/predict.shtml )。これは、過去100年で最低の極大期黒点数であり、当面、太陽活動は低調に推移するものと思われます。

太陽の極域磁場のデータは、次の太陽サイクルの黒点数を推定する上で重要な情報を提供します。「ひので」は、地上観測・衛星観測を通じて極点を含む極域を観測できる唯一の天文台です。特に、マウンダー極小などの極端な太陽活動の低下が今後発生する場合、その兆候が1サイクル(〜11年前)近く前に極域磁場に現れると予想され、「ひので」は、今後も集中的な極域の観測を継続して実施する予定です。

画像資料

図をクリックすると拡大します。

flux_density.jpg
図3: 北極(左)、南極(右)の強磁場斑点の平均磁場強度の時系列プロット。青は正極、オレンジは負極を表す。

Fig4mod1.jpg
図4:北極(左), 南極(右)での磁場の正極/負極の割合を緯度ごとに示した。北極側は 2007年9月の負極が青点線、2012年1月の負極が緑実線、2012年9月の負極が青実線。 南極側は 2012年3月の正極が赤実線。2007年9月の観測データでは、北極は負極が圧倒的に優勢だが、2012年9月のデータでは 70度付近ですでに極が反転し、正極のほうが多くなっている。南極側は 2012年3月の時点でどの緯度でも以前と同じく正極が支配的である。

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