開発状況

Solar-B光学望遠鏡フライト用主鏡・副鏡完成

 Solar-B光学望遠鏡の望遠鏡部は有効径50cmのアプラナティック・グレゴリアン反射望遠鏡にコリメーターレンズを組み合わせたアフォーカル光学系で、米国NASA製作の焦点面観測装置へ瞳径3cmの光束を送る。このグレゴリアン望遠鏡のフライト用主鏡と副鏡が2003年3月完成した。三菱電機・通信機製作所の設計によりフランスSAGEM/REOSC社が製作したものである。衛星搭載のため、いずれの鏡も軽量化されており且つ50Gの加速度に耐え得る構造をしている。いずれの鏡面も非球面(楕円面)であり、まず、単体でヌルレンズを用いて面精度を出し、最後に主鏡・副鏡を望遠鏡として組み合わせた状態で波面測定を行い、仕様波面誤差(19.8nm rms)を満たすため主鏡面を修正イオンビーム研磨した。結果、視野284秒角内で仕様を越えるrms波面誤差18nm (ストレール比0.95(波長500nm))を達成した。これはREOSC社の知る限り50cmクラスの望遠鏡としては世界最高性能である。光学望遠鏡の総合性能としてはまだまだ考慮する事が多いが、これにより、観測時性能目標である回折限界(ストレール比0.8以上)達成のハードルを一つ越えたことになる。いずれの鏡も銀コーティングされ、太陽光吸収率6.7%程度である。主鏡・副鏡はフランスより2003年4月末に国立天文台・高度環境試験室に搬入され、夏からのフライト望遠鏡の組立て・試験に用いられる。

                  (太陽物理学研究系・末松芳法)

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写真1.完成したフライト用主鏡。鏡面には帯電防止用のアース線が2ヶ所接着されている。材質は超低膨張ガラスULEで、表面外径φ560mm、側面3ヶ所に接着されたスーパーインバー製のパッドで望遠鏡構体ミラーセルに保持される。重量はパッドも含めて14.8kgである。

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写真2.完成したフライト用副鏡。材質は超低膨張ガラスULEで、表面外径φ159mm、裏面突出部に接着されたスーパーインバー製のパッドで望遠鏡構体に保持される。重量はパッドも含めて575gである。

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