開発状況

Solar-B可視光望遠鏡像安定化装置 驚異の0.02秒角(1σ)達成

太陽物理学研究系助手 清水敏文


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衛星は常時数秒角の大きさで揺れており、可視光望遠鏡が回折限界を達成し高精度の偏光観測を実現するために、「像安定化装置」を望遠鏡内部に持っている。国立天文台は可動鏡および制御系の責任担当であり、米国NASAが高速CCDカメラと画像相関処理を担当している(図1)

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平成14年4月にプロトモデルによる性能評価試験を国立天文台天文機器開発実験センターにて実施し(図2)、0.06秒角(3σ)を優に超える性能を有したシステムであることを検証した。

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性能評価は、光学定盤上に望遠鏡光学系を模擬するように可動鏡、高速CCDカメラおよび光学系を配置した試験光学系にて行った(図3)。高速CCDカメラは太陽面風景(太陽粒状斑像)を連続的に撮り、画像相関処理によってリアルタイムに残差信号を生成する。試験では地上で得られた最良画像をもとに作成された粒状斑像を使用した。

 

図4に試験で得られたデータの一例を示す。サーボ制御により、制御帯域(~20Hz)より低周波の外部擾乱が数桁も抑えられていることが分かる。 

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 今後、衛星内部での微小擾乱の伝達度や衛星内部擾乱源の特性の評価が衛星レベルで行われる。これらの試験から衛星・望遠鏡の揺れの特性が得られ次第、「像安定化装置」によってどれだけの像安定度がフライト観測時に実現されるかについて評価を行う予定である。

 可動鏡の開発は、今後フライトモデルの最終設計・製作に移行する。フライトモデルは平成14年12月までに完成し、天文台にて平成15年1月から宇宙環境を模擬した熱真空下での機能・性能試験および光学性能試験を実施する予定である。日米分担で製作されたフライト品を組み合わせた性能評価は、平成15年5-7月に米国にて実施する計画である。この試験はフライト品の性能を評価できる唯一の機会であり、プロジェクト上極めて重要なイベントとなる。

 

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 最後に、国立天文台で実施した「像安定化装置」の一連の試験は、永田伸一研究員および清水を中心に、日米の開発グループで遂行した。天文機器開発実験センターの各位には様々な場面でサポートを頂き感謝する。

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