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CLASP打ち上げ!

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CLASP打ち上げ(NASA/MSFC)

 国際共同観測ロケット実験CLASPは、ライマンα線という大気に吸収される光で観測する装置をロケットに載せて大気圏外まで飛ばし、落ちてくるまでのわずかな時間に太陽を観測する実験です。米国ホワイトサンズにて現地時間9月3日11時1分(日本時間9月4日2時1分)に打ち上げ、観測が実施されました。

■CLASPとは

 CLASPの目的は、太陽コロナ(上層大気)が太陽表面よりも温度が高いのはなぜかを探るために、コロナと表面の間の薄い大気の層である彩層の磁場を測ることです。太陽の表面の磁場は「ひので」が測定していますが、その上空の彩層の磁場は表面よりも弱く、表面と同じ方法では測るのが困難です。表面の磁場を測るのとは違う、新しい原理を用いて測定する必要があります。

 

 そこで、新たな発見を目指して、2008年、新たな観測装置の開発が始められました。新しい原理"ライマンα線のHanle効果"で磁場検出が可能なことは、スペインやノルウェーの研究者の協力を得て、太陽大気モデルでの検証を行い、そのモデルが予想する1%以下の偏光を測定できる観測装置は、アメリカやフランスとの国際協力の下で開発しました。2014年から国立天文台・先端技術センター内のクリーンルームで進められてきた観測装置のフライト品の組み立てと性能試験は、2015年4月にすべて完了しました。そのあと米国にて、マーシャル宇宙飛行センター(MSFC)でのフライトエレキとの噛合せ試験と、打ち上げの行われるホワイトサンズでのロケットとの噛合せ試験等を経て、今回の観測ロケット実験の実施に至りました。

CLASP観測装置の組み立て、試験の様子は、こちらに掲載されています。

http://hinode.nao.ac.jp/KakenS/CLASP.shtml
 
 
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主鏡の取付作業(国立天文台・クリーンルームにて)。主鏡には、可視・赤外光は透過し、ライマンα光(真空紫外線)のみを反射するコーティングが施されている。(国立天文台、JAXA、NASA/MSFC)

 ロケットの筒に搭載されたCLASP観測装置を下図に示します。なお、中が見えるように、筒が無い状態との合成写真です。観測装置は望遠鏡部と偏光分光装置部から成り、太陽からの紫外線を望遠鏡部で集め、偏光分光装置部に導入して分析します。

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国立天文台、JAXA、NASA/MSFC

■CLASP打ち上げ

 米国ホワイトサンズの砂漠の端にある発射場から、現地時間9月3日11時1分(日本時間9月4日2時1分)に、CLASP観測装置を載せたロケットが打ち上げられました。
 CLASP観測装置は、打ち上げ後まもなくロケットから分離され、大気圏外を弾道飛行をしながら太陽を観測します。観測時間は150km以上の高度に滞在できる、わずか5分弱。観測開始時に実際に取得したCLASP画像を見て、太陽上の観測位置を微調整し、約5分の本観測に移りました。
 打ち上げられた観測装置は、同じ砂漠の中にパラシュートで落ちてきて無事に回収され、観測装置内のメモリーに保存されていた全ての観測データの回収にも成功しました。今後、得られた観測データを詳細に解析していくことで、太陽の彩層の磁場の情報が明らかにできると期待できます。
 
 
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国立天文台、JAXA、NASA/MSFC

打ち上げに携わった、CLASP計画日本側代表の鹿野氏の話:
「ロケットの飛翔・観測装置の性能・姿勢変更の運用。全てが、これ以上望めないほど理想的な観測でした。時間が止まったかのように、一点を観測し続けるCLASPの観測データはとても素晴らしく、身震いするほどの感動を覚えました。今後の解析がとても楽しみです。」

打ち上げに携わった、CLASPインストルメントサイエンティストの成影氏の話:
「我々の7年間の努力が実を結び、CLASPは完璧なデータを届けてくれました。詳細な解析はこれからですが、間違いなく太陽観測史に残るデータが取れたと確信しています。打ち上げの雰囲気をお伝えしたく、コラムも書きましたので、こちらも御覧下さい。」

打ち上げに携わった、CLASPプロジェクトサイエンティストの石川氏の話:
「これまでこんなに緊張したことがあるだろかというくらいの緊張で打ち上げを迎えました。ロケットが旅立つのを見守った後、テレメトリーで送られてきたデータが身の毛もよだつほど素晴らしくまた、これまで7年間の苦労を思い出してとうとうここまで来たか、と胸がいっぱいになりました。素晴らしいデータを取る事ができ、今後の解析がとても楽しみです。」

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