平成25-29年度 科学研究費補助金 基盤研究 (S)
「太陽コロナ・彩層加熱現象に迫る-ひので・IRIS・CLASPからSOLAR-Cへ」

トップイメージ

CLASP の目指すサイエンス ー 太陽彩層・遷移層の磁場を計測します

太陽は、光球(約6千度)の外に彩層(Chromosphere)・遷移層・コロナという高温の大気を持っています(図1)。 彩層の温度は約1万度ありますが、その加熱に必要なエネルギーは100万度のコロナを作るのに必要なエネルギーの10倍から100倍大きいことが知られています。 彩層やコロナの加熱メカニズムは、太陽物理学上の大きな謎のひとつです。

図1.太陽観測衛星「ひので」により発見された現象。彩層の動的現象(A)〜(C) や光球の水平磁場(D) が発見され、彩層・遷移層の磁場構造に注目が集まっています。

日本の太陽観測衛星「ひので」によって、ジェットや波動現象(図1(A)〜(C))といった動的現象が彩層で頻繁に発生していることが発見されました。 これらの彩層の動的現象がエネルギー源となって、コロナを加熱している可能性もあります。 また、「ひので」による光球磁場の観測により、太陽表面のいたるところに短寿命水平磁場が発見され(図1(D))、彩層の動的現象の原因となっているのではないかと注目されています。 彩層~遷移層~コロナの加熱には磁場が重要な働きをしており、その加熱過程を理解するには、彩層を含む光球からコロナまでの磁場の精密・高空間分解能観測が不可欠です。 CLASP は、世界で初めて量子力学的ハンレ効果を利用して、ライマンα線で太陽彩層・遷移層の磁場を計測することを目的としたロケット実験で、SOLAR-C 衛星の予備実験としてもたいへん重要です。