伴場 由美

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太陽フレアを観測する宇宙の眼

伴場 由美(ISAS/JAXA 研究員)

「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?

 2011 年に大学院に入学し、フレアの発生メカニズムの研究をすることになり、「ひので」の
データ解析を始めました。2012 年からは「ひので」SOT の運用、2015 年からは Flare Watchdog(フレア観測のサポート担当)としても参加しています。

「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?

 「ひので」SOT が観測した大規模フレア(図 1)の解析から、太陽フレア発生の「トリガ」と
なった微小な磁場構造(図 2 中の黄色の丸で囲まれた構造)を世界で初めて特定しました。この微小な磁場構造の特徴は、フレア発生の物理過程の理論モデルによって予想されていたものとよく一致し、観測データからフレア発生の定量的条件を初めて示した成果となりました。

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SOT が観測した大規模フレア ( 上 ) とフレア発生のトリガとなった小規模磁場構造 ( 下 )。

「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?

 初めて「ひので」SOT のデータ解析を行った時は、データを取り扱う上で留意すべき点が多
く、難しいと感じました。特に、異なる波長の画像データを高精度で位置合わせをするのがとても大変でした。また、衛星運用に携わり始めてからは、観測プログラムの作成方法などを覚えるのに苦労しましたし、科学的に有意義な観測計画を考えるのは、今でも毎回悩みながら行っています。

「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?

 「ひので」が打上げられた2006 年は、太陽活動は減衰期でしたが、複数の大規模フレアが発生しました。現在も極小期に向けて活動領域の数は減ってきていますが、まだまだフレア観測のチャンスはあると期待しています。特に、SOT/XRT/EIS の3 機器同時観測、さらには IRIS 衛星や地上観測との共同観測で良質のフレア観測データを取得し、フレア発生の物理的理解を進める研究を進めていきたいと思います。

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