「ひので」は生活の一部
坂尾 太郎(ISAS/JAXA 准教授)
「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?
ミッション検討の最初期から参加しています。きっかけが何だったのかは覚えていません。
「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?
低速太陽風の「吹き出し口」を挙げたいところですが、皆さんに感銘を与えるのは 2012 年の
金星の太陽面通過を SOT で捉えた画像でしょう。岡本君が宇宙研の研究員室でリリース用画像を作りました。それと、観測開始直後 に SOTが太陽リムのプロミネン ス( と後でわかった)を写した映像も印象に残っています。目の前のディスプレイに写っている雲のようなものが一体何なのか、誰もわかりませんでした。SOT の運用で宇宙研に来ていたロッキード勢と「何だこれは !?」と騒ぎました。
「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?
「ひので」打上げ直後に XRT のミラー周辺が高温となり、保持された X 線ミラーが熱で歪ん
でまともな像が映らないのでは、と真剣に懸念されました。ファーストライト画像取得の日に、一緒に運用室へ向かうエレベーターの中で XRT の米側 PI が、乗り合わせた SAO の博士研究員に、「まーそんなにナーバスになる必要はないが、certainly this is a moment of life or death」と言いました。衛星に撮像コマンドを送信し、いざファーストライト画像を取得すると、何か訳のわからないものが写っており、およそまともな画像ではありません。「これは death の方か?」
と固まっていると、横にいて画像を見ていた鹿野君が「シャッターが開いて露光しているはずのタイミングで CCD が読み出されているのではないか?」と言いました。露光のためにシャッターがまだ開いているのに CCD の垂直転送が始まると、垂直転送中のピクセルに X 線が当たり続けて、一方向にテイルを引くこんな画像となります。そうでした。固まる暇があるなら今何ができるか考えるべきでした。CCD の露光とシャッターを制御している米側エレキをリセットして撮像をやり直すと、まともな太陽像が取得できました。あの時の鹿野君の一言には、今も感謝しています。
「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?
XRT のデータ解析に取り組んでいきたいです。
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