桜井 隆

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北京の COSPAR 総会で、ひので初期研究に関する日中協定書調印(2006 年 7 月、南京大学・方成、桜井、北京天文台・張洪起)。

シニアメンバーよりひとことふたこと

桜井 隆(国立天文台 名誉教授)

「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?

 まだ「ようこう」が打ち上げられる前の 1990 年 7 月の宇宙科学研究所主催・科学衛星シンポジウムに桜井、平山、渡邊、小杉、常田で発表した「次期太陽観測衛星計画」あたりです。まだ SOLAR-B と名乗る前ですが、すでに SOLAR-B 最大の装置は可視光望遠鏡と磁場観測装置という位置づけでした。

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1990 年に構想した次期太陽観測衛星。

「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?

 初期成果発表の画像はどれも印象深いのですが、動画としては太陽縁近くの黒点のカルシウムH 線画像。噴水のように絶え間なく吹き上げるジェット(リコネクションかな?)が印象的。

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カルシウム H 線で捉えられた黒点周辺で噴き上げるジェット。

「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?

 ミッションの性格を大きく決めたものは、可視光望遠鏡の搭載のほか、X 線望遠鏡を「ようこう」と同じ斜入射方式にするか、多層膜反射鏡による直入射方式にするか、の選択でした。観測波長が広帯域で高温成分まで捉えられるが分解能を上げるのが難しい斜入射方式と、単一波長しか撮れないが高分解能を出しやすい直入射方式の比較検討の結果、「ひので」X 線望遠鏡 XRT は「ようこう」と同じ斜入射望遠鏡となりました。欧米勢は SOHO(1995 年 打 ち 上げ )、TRACE(1998 年 打ち上げ)、SDO(2010 年打ち上げ)と直入射で順次分解能を高めてきており、この選択は評価が分かれるところです。「ようこう」の軟 X 線望遠鏡 SXT については、その性能、トラブルと回避作業をすべてまとめた論文を PI の Loren Acton が最近出版しました(2016年、Solar Physics)が、ひのでXRT ではそこまで装置に思い入れのある人がいないようなのも気になるところです。

「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?

 まだ、ひのでのデータを使った主著論文がないので、罪滅ぼしにひのでの 10 年間の研究成果のレビュー論文を、20 名程度の著者を頼んで PASJ から出版することを企画中。

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