井上 直子

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科学コミュニケーターとして私を成長させてくれている「ひので」

井上 直子(国立天文台 特定技術職員)

「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?

 ひので科学プロジェクトの広報担当(特定技術職員)として2014 年 4 月より採用いただけました。日本科学未来館で科学コミュニケーターとして勤務していた折、国立天文台に強く魅力を感じていたのが、応募するきっかけとなりました。

「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?

 いち押し画像は、やはり「勝川彩層」です。「ひので」の高分解能観測は、それまで穏やかであると考えられていた太陽彩層がこんなにもダイナミックな活動現象に満ち溢れていることを発見しました。そうした活動現象が彩層・コロナの加熱の鍵を握るのではないかと考えられるようになり、次の太陽研究のターゲットは彩層へ向かうことになります。このように太陽物理学上、重要な意味を持つことに加え、アイキャッチになる画像でもあることから、様々な広報ツールに採用してきた一枚です。

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「ひので」がとらえたダイナミックに活動する彩層。

「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?

 「ひので」の広報活動は、「『ひので』の知名度を上げる」、「一般の方々に科学を楽しんでもらう」だけでなく、「研究成果のポイントを理解してもらう」、「科学研究のプロセスを追体験してもらう」などに重点を置いていますが、広報担当 1 人体制でイベントの運用・調整から内容づくりまでを行う中でそれを達成するのは容易ではありません。2016 年の特別公開では、2 年半の広報活動における試行錯誤が実を結び、学生の協力を得て、見えない太陽内部を音波の伝わり方から推測する日震学の手法を、水の波を用いた実験で模擬体験いただくことで、効果的に伝えることができました。

「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?

 広報活動のねらいの達成度を客観的に評価することは難しく、広報・科学コミュニケーション
業界全体で大きな課題です。前項の水波実験では、子どもが親に「すごくおもしろかった。外側から見えないものをどうやって調べるかの話だった。」と報告していたり、若い方が「僕が前から想像していたのとは違う手法で太陽の内部を調べることが分かり、とてもおもしろかった」と話していたりと、参加者の反応からねらいを達成できたことをある程度計り知れました。今後さらに客観的に評価する手段を模索し、どのような活動でどのような効果があったかを広く他の研究機関と共有し、広報活動の質を向上していきたいと考えています。

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