仮想と現実をつなぐカギ
鳥海 森(国立天文台 NAOJフェロー)
「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?
大学院生の頃からひのでの運用などを経験していましたが、本格的にひのでのデータ解析を開始したのは国立天文台の所属になってからです。IRIS 衛星の本格運用が始まったこともあり、ひので・IRIS データと数値シミュレーションを比較する研究を行うことになりました。
「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?
黒点ライトブリッジのひので・IRIS 観 測 結 果 と シ ミ ュ レ ーション結果を比べた図です。ひ
ので(左下)からは、ライトブリッジの水平な磁場を小黒点の垂直な磁場が取り囲む様子が、IRIS(左上)からは、ライトブリッジ上空で爆発やジェット噴出が間欠的に発生している様子が明らかになりました。シミュレーション(右)によって、水平磁場と垂直磁場の「磁気リコネ
クション」が爆発・ジェット噴出を駆動し、対流運動がその間欠性を担っている可能性が示されました。
「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?
それまで行ってきた数値シミュレーションとは異なり、観測データ解析ではデータ間の位置合わせや波長・速度補正など特有の処理を行う必要があります。ひので科学プロジェクトの方々にご協力いただき、慣れない作業でもスムーズに取り掛かることができました。
「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?
ひのでは既に 10 年間、ほぼ 1太陽周期にわたる膨大な観測データを蓄積しています。今後はこれを活用し、統計的な研究や活動周期の依存性に着目した研究を行いたいと考えています。
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