研究成果が湧き出る打ち出の小槌
久保 雅仁(国立天文台 助教)
「ひのでプロジェクト」に参加したのはいつですか?そのきっかけは?
修士課程に入学した 2000 年です。最初の仕事は、可視光磁場望遠鏡の日米技術会合の懇親会の世話役でした。その働きが評価されたのか、その後は各種試験に投入されていきました。
「ひのでプロジェクト」の10 年間でいち押しの成果や画像は?
自分の黒点崩壊の研究成果を押したいところですが、静穏領域が小さくて弱い磁場に埋め尽くされていることが分かったことが一番の成果だと思います。下図はそれを示すもので、それまでの磁場観測からすると信じられないようなデータで、太陽表面の磁場研究の新たな幕開けを確信させる画像でした。また、初期運用での辛い日々を癒してくれた数々の「ひので」画像の中でもプロミネンスの動画(岡本さん記事参照)はとても印象的でした。
「ひのでプロジェクト」の 10年間で一番印象に残っている出来事や苦労したことは?
一番印象に残っているのは打ち上げとファーストライトです。10 年間で一番苦労したのは、3 機器の観測計画を統括するチーフプランナーを立ち上げるところでした。各観測チームが初期観測データで盛り上がっているのを横目で見ながら、初期運用の合間を縫って立ち上げ作業を行う辛い日々でした。実務のほとんどは天文台の坂東さんが担当し、私は我儘な研究者達に文句を言う係でしたが、運用計画のチェックソフト"bando_brain"を製作したのが、ひので運用に対する最大の貢献かなと思っています。
「ひので」で今後取り組みたいことや期待することは?
とにかく長生きして欲しいです。今後飛翔を計画している観測ロケット CLASP-2 や大型気球実験 SUNRISE-3 との共同観測でもう一花咲かせたいです。また、地球人としてはこのまま普通の太陽の状態が続いて欲しいですが、太陽研究者としてはマウンダー極小期の様な状態になった静かな太陽を、「ひので」の高精度・高解像度の磁場観測で見てみたいです。
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